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たとえば、家族で食事をした日の写真が、思ったよりきれいに撮れたとします。ケーキも笑顔も写っている。誰かに見せたい。
けれど、写っている家族は「撮るのはいいけど、SNSには載せないでほしい」と思っているかもしれません。
ここで、写真を撮ったときは笑っていたのに、と考えると話が遠くなります。撮影と公開は、別々に聞けることだからです。
一緒に写ったこと、写真を家族へ送ったこと、誰でも見られる場所へ載せること。この三つを分ければ、写真を楽しむ気持ちまで取り消さずに話せます。
今回は、家族の一枚をSNSへ載せる前の聞き方を考えます。断りたい側の短い返事、もう投稿されたときの伝え方も、実際に使う場面へ寄せて見ていきましょう。
「写真を撮っていい?」の次に公開先を聞く
撮影するときに声をかけ、相手がうなずいた。そこで安心したくなるところですが、そのうなずきが何についてのものかを分けてみます。
一緒に写真を撮ることには賛成でも、知らない人が見るところへ載せるのは気が進まない。家族だけのやり取りなら送りたいけれど、別のグループへ転送してほしくない。こうした希望は同時に持てます。
個人情報保護委員会のSNS投稿に関する資料でも、一緒に写った人へ投稿の許可を取ることが案内されています。家族の間でも、載せる前に一枚を見せて聞く、という行動へつなげられます。
最初の問いは「写真、使っていい?」より、使う場所まで具体的にすると分かりやすくなります。「この一枚を、私のSNSの投稿に載せたいんだけど、どうかな」という具合です。
この先に出てくる言い方は、家庭での相談用に作った例です。ふだんの呼び方や関係に合わせて短く変えて使ってください。
聞かれた側も、何に返事をするのかが分かれば、希望を出しやすくなります。撮影そのものを断る話なのか、公開する場所だけの話なのか。そこが混ざっていると、必要以上に大きな相談になります。
写真は好き。公開は別に決めたい。両方あっていい。
集合写真なら、写っている一人の返事を全員分の返事として扱わないことも大切です。誰かが「私はいいよ」と言ったあと、ほかの人が黙っていても、それだけで全員同じ希望とは決まりません。
家族の集まりの真ん中で答えにくそうなら、あとから個別に写真を見せる方法もあります。その場の明るさを守ろうとして、返事を急がせなくて済みます。
こういう相談を始めたいときは、SNSの事例を家族で読める本も話題の入口になります。相手を注意するためでなく、自分たちならどう扱いたいかを一緒に考える材料として選びましょう。
一枚と文章と公開範囲をセットで見せる
「今日の写真を載せていい?」と聞かれても、何枚も撮った日なら、相手が思い浮かべる写真は違うかもしれません。
集合写真のつもりで返事をしたのに、食事中のアップが載っていた。そんなずれを避けるには、使いたい一枚を指定して見せます。
連続した写真をまとめて投稿するなら、一枚目だけでなく、載せる予定のものをまとめて見せる形にしましょう。写真選びが終わる前の返事を、後から追加した画像まで広げないためです。
次に、添える文章。写真に名前が写っていなくても、本文へ名前や学校、勤務先などを書くことはできます。画像がよければ文章もよい、とは限りません。
聞き方の例なら、「この写真と『家族でお祝いしました』という文章で載せたい。名前と場所は書かないつもりだけど、どうかな」となります。
細かい手続きを増やすというより、投稿画面でこれからすることを、そのまま見せるイメージです。相手は顔の写り方だけでなく、自分について何が書かれるかも見られます。
公開範囲も、同じ言葉を使っているか確かめたいところ。「友達だけ」といっても、写っている本人が知らない人が含まれていることはあります。
家族だけのグループなのか、知人を含むアカウントなのか、誰でも見られる投稿なのか。相手が見る人を想像できる説明にすると、設定名だけを伝えるより相談しやすくなります。
期限のある投稿形式でも、短時間だから必ず大丈夫という答えにはなりません。画面を保存されたり、別の人へ送られたりする可能性も踏まえ、期間の短さだけで返事を代わりに決めないようにします。
許可を得たあとで別の写真に差し替えたり、個人的なエピソードを足したくなったら、その変更をもう一度見せる。前の相談に戻れるようにしておけば、最初からあらゆる条件を決める必要はありません。
たった一枚の話なのに、と感じるときほど、一枚そのものを見せてしまう。抽象的な話し合いより、画面を一緒に見るほうが早いこともあります。
載せてほしくないときは理由を全部説明しなくてもいい
写真を見せられて、どうも気が進まない。写りが気になる日もあれば、顔写真をSNSへ出したくない日もあるでしょう。
まず伝えるのは、相手の撮り方への評価より、自分が希望する扱いです。「この写真はSNSには載せないでほしい」と、してほしくないことを一つに絞れます。
「なんで?」と聞かれたら、「自分の顔が出る投稿は控えたいから」で止めても構いません。仕事、交友関係、過去の出来事まで、全部並べて説得する形にしなくてもよいのです。
ただし、自分が本当に希望している範囲は、ぼかさず伝えたいところ。顔だけ隠せばよいのか、その写真自体を載せてほしくないのかで、相手が次にすることは変わります。
「顔を隠しても、今回はこの写真は投稿しないでほしい」と言ってもよいし、「私は外して、料理だけの写真にしてくれる?」と代案を出してもよい。代案は、自分が納得できるときに選ぶものです。
断るために、別の写真を用意する係まで引き受けなくて大丈夫。
載せたい側は、「せっかくきれいに撮れたのに」と残念に思うかもしれません。それでも、その残念さを理由に返事を変えさせるより、「分かった、これは載せないね」と今することを返すほうが話はまとまります。
断られた写真を家族の中で大げさに取り上げる必要もありません。誰が気にしすぎかを話す場になると、次から答えにくくなります。載せないと決まったら、写真を選び直す話へ進めます。
また、一度了承した写真でも、後から見て気持ちが変わる場合はあります。そのときは「前はいいと言ったけれど、今は公開をやめてほしい」と変更したいことを伝えましょう。
相手の返事を予測して台本を作り込みすぎるより、今回の一枚をどうしてほしいかが分かる言葉を用意する。長い説明より、短くても具体的なお願いが役立つ場面です。
顔を隠したあとも背景と文章へ目を向ける
顔にスタンプを置いたら、それで相談終了。そうしたくなるところですが、写真には顔以外にもいろいろ写っています。
たとえば、机に置いた郵便物、制服や名札、家の外観、窓の向こうの景色。本人は料理に目が行っていても、画面の端に別の情報が入っていることがあります。
個人情報保護委員会の資料は、住所などにつながる情報の写り込みや、写真に含まれるGPS情報にも注意を向けています。顔を隠すことと、周囲の情報を見直すことを分けて考えるための視点です。
具体的には、投稿しようとしている画像を一度拡大して、四隅から見ます。自分が見せたい主役の外側を読む、という順番にすると、見落としやすい文字へ目を向けられます。
ただし、全部の細部を点検して「絶対に特定されない」と保証する作業ではありません。迷う情報が含まれるなら、別の写真を選ぶ、公開を見送るという選択もあります。
画像を加工する場合も、写っている人へ加工後のものを見せます。顔が隠れていれば載せてよいかどうかは、その本人に聞く内容として残ります。
文章にも同じ目線を向けましょう。「今、家族全員で旅行中」と書く場合と、帰宅後に「先日の旅行」と書く場合では、伝わる情報が違います。思い出を紹介したいのか、現在地や今の予定まで伝えたいのかを分けると、書く内容を絞れます。
家族の一人がSNSへ出していない話を、ほかの人が添えた文章で初めて公開することもあり得ます。進学、転職、引っ越しなどは、写真に写っていなくても本人に関わる話です。
写真だけの許可を、その人の近況を何でも書く許可にしない。ここまで考えると、撮影後の相談が画像選びだけの話ではないと分かります。
せっかくの一枚を楽しむために、見せる内容を選ぶ。そのくらいの距離感で、写真の中心と外側の両方を眺めてみてください。
もう載っていたら投稿を特定して希望を伝える
投稿前に聞いてもらえず、自分の写真を見つけたら、削除してほしい投稿の日時や画像を示して伝えられます。どの投稿の話かをそろえると、してほしいことが具体的になります。
たとえば「昨日載せた集合写真の二枚目、私が写っているものを削除してほしい」と伝える形です。日時や画像の位置が分かれば、相手が別の写真を操作するずれを減らせます。
「嫌だった」という気持ちと、「その投稿を削除してほしい」という行動の希望は、両方伝えて構いません。気持ちだけで終えると、相手が謝ったあと、写真が残ったままになることも考えられます。
理由を長く説明する余力がないなら、「私の写真は公開したくないので、まずこの投稿を下げてください」と短くまとめる方法もあります。今することと、次回からの相談を分けるのです。
投稿した側なら、説明を始める前に、求められた操作が何かを聞き取ります。写真の削除なのか、文章の修正なのか、別の投稿先にも載せていないか。対応したら「この投稿を削除した」と具体的に返します。
謝る言葉と、画面を変えることは、別々にできる。
個人情報保護委員会は、一度投稿した情報を完全に消す難しさも伝えています。元の投稿を削除したことを、保存や転送まで含めてすべて消えたという保証にはしないようにしましょう。
そのため「もう消したから何も問題ない」と話を終えるより、次から投稿前に聞くことを短く決めるほうが、次の行動につながります。今回のことを材料に、相手の性格まで評価し合う必要はありません。
家族が応じない、繰り返し載せる、話すこと自体が怖い場合は、一人で説得し続ける形にしないでください。利用しているサービスの報告窓口や、信頼できる人への相談など、相手との直接のやり取り以外も考えられます。
今後送る写真の範囲も、自分で見直せます。公開してほしくない写真を毎回送って、そのたびに削除を頼む流れなら、送る前の段階でいったん止める方法があります。
一度の話し合いで家族全体の考え方を変えるより、まず今回の一枚をどう扱うか。その小ささは、お願いを軽くするのではなく、実行することを分かりやすくします。
家族で話す材料にSNSの事例を扱う本を使う
Gakkenの『被害者にも加害者にもならないために SNSから心をまもる本』は、写真投稿を含むSNS上の場面を家族で考えたいときの候補です。小木曽健さん監修で、マンガによる事例と解説を組み合わせた本です。
出版社の公式案内では、思い出の写真を投稿する場面と肖像権・プライバシーを扱う項目が確認できます。紙版の書誌はB5判96ページ、ISBN9784055014434ですが、今回販売ページを確認できたのは楽天Koboの電子版です。
楽天Koboの電子版の商品番号は9784059227274です。紙の本が届く商品ではないので、読む端末やアプリを先に確認してください。家族で同じ画面を見られるかも、選ぶときのポイントになります。
写真だけのマニュアルではなく、SNSで起こり得るさまざまな場面を扱う本です。購入前には出版社の目次や試し読みで、読みたい内容があるか、文字とマンガの配分が合うかを見てみましょう。
子ども向けに作られた本を大人が一緒に読むときは、「あなたが勉強する本」と渡すより、「この場面、私たちならどうする?」と同じページを開く方法があります。
写真を投稿するのは子どもだけではありません。親や祖父母、きょうだいの側も、自分が写っていない写真をどこへ送るかという選択をしています。
読みながら家族へ聞くなら、実際の誰かを責める問題にしない工夫ができます。「集合写真を載せたいとき、何を先に見せてもらえると答えやすい?」のように、これからのやり取りへ向けるのです。
答えが違っても、その場で一つの正解へまとめなくて構いません。名前を出したくない人、顔は出したくない人、家族内なら構わない人。それぞれが気になる場所を知ると、次の相談で尋ねることが具体的になります。
家族のために読むつもりでも、自分の投稿の仕方に気付くことはあるでしょう。誰かに注意する道具としてだけ使わず、自分が写真を送る側の場面にも当てはめると、話が一方向になりません。
本を読み終えた証拠として、細かいルールを大量に作る必要もありません。次の写真を送るときに「これは家族の中だけで見てほしい」と一言添えられたら、学んだことを使う場面はもうあります。
楽しかった写真を無理なく残すために
家族の写真をSNSへ載せる前は、一枚の画像、添える文章、誰に見せるかをセットで相談します。撮影の了承と公開の了承を分けると、写真そのものを楽しむ気持ちまで否定せずに済みます。
断りたいときは、理由をすべて説明するより、してほしくない扱いを具体的に伝える。すでに投稿されていたら、対象をそろえて削除や修正の希望を伝える。この二つも分けて考えられます。
顔を隠した場合も、本人の希望や背景の情報は別に残ります。加工したから相談不要、と飛ばさず、載せる前の画面を見せてみましょう。
誰かに見せなかった写真も、撮った日の思い出であることは変わりません。家族の中で眺める、手元に残す、その一枚は載せずに別の写真を選ぶ。楽しみ方はいくつもあります。
次に家族の写真を送るとき、まず「どこまで見せていい?」の一言から始めてみてください。写真に写っている人も、その写真の扱いを一緒に選べます。
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